愛のレビュー 天才論
天才論―ダ・ヴィンチに学ぶ「総合力」の秘訣 (朝日選書 818)
NHKのプロフェッショナルの司会でもお馴染みの、脳科学者・茂木健一郎さんの本。
正直、「ダ・ヴィンチ・コード」からの一連のレオナルド・ダ・ヴィンチ・ブームにのって書かれた、という感じの否めない本ですが、そこは茂木さん独自の参考になる視点もあります。
レオナルドは「万能の天才」としてなんでもできる神みたいな人、みたいなあつかいをされがちですが、そんな風にまつり上げてしまっては、その人そのものに迫ることはできないのではないか、と著者は説いています。
それは確かにぼくも感じていて、モーツァルトとかレオナルドはもう、「神に選ばれた人達」みたいに崇め奉って、暗に「彼らは選ばれた人、ぼくらは凡人とは違う」という風に決め付けてしまう人も多いです。
でも、モーツァルトにしたって人間で、脳が突出してぼくたちと違うわけではないし、現人神というわけでもないのだから、短所も長所も冷静に分析することが必要なのではないかと思います。
突出した業績を残した彼らの人生の中には、ぼくたちの生き方もよくすることのできるDMDが秘められているはずですから。
茂木さんは、レオナルドの創作の秘密の一つとして「総合的な知性」を上げています。
芸術や、数学、物理その他のある特定の分野で天才的で独創的な業績を上げるためには、逆にその分野だけではなく、総合的な幅広い教養が必要なのではないか、ということです。
中間子の発見でノーベル賞を取った湯川秀樹は、幼い頃から漢籍に親しんでいて、彼の中間子理論には荘子等の影響もあるのではないかといわれています。
一分野だけの突出した英才教育では到達できないものが、「総合的な知性」にあるというのです。
たしかに音楽を一度聴いたらまったく同じように演奏できる人がいたとしても、それが曲芸として面白いとしても本当に人々の心を打つ演奏なのかどうかはまったく別問題です。
どうやら独創性、創造性は広範な知識を必要とするらしい。
脳の中では「ここが音楽の領域、ここは物理の領域」と明確な色分けがあるわけではなく、互いに乗り入れあっているので、逆に別分野の影響を受けないわけがなさそうです。
これからは「古典に裏打ちされた知性」が必要になってくるのではないか、と著者は言っています。
いみじくもレオナルドの時代の「ルネッサンス」が「古典回帰」という意味だったのと符合するように。
さらに、
・思い出すことはひらめくこと
・創造性は過去の経験×意欲
・分析する知性と統合する知性
など、が説かれていまして、茂木さんの視点はやっぱり面白かったです♪
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)













最近のコメント