ピアノが好きになっちゃった―レッスンQ&A
江口寿子 夏目かおる 江口彩子著 二期出版
江口メソードの江口寿子さんが悩めるピアノ教師から立ちの質問の答えたQ&A本。
江口さんの本は以前にもレビューしました。
はじめましてピアノ
http://my-interest.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_155b.html
しかしピアノの指導書って数が多いですね。
楽器の中ではギターも多い方だろうけど、ピアノはそれの5倍くらいはあるんじゃないでしょうか。
子供の頃から習う定番の楽器だからかなあ。
この中で印象に残ったQ&Aがいくつか。
どちらも10章の「先生へのメッセージ」の中の質問です。
まず最初のやつ。
Q:どの程度弾けたらその曲をマルにして次にいっていいのか?
それに対して江口さんは、
A:マルする基準は一定ではありません
と答えています。
生徒によって、また同じ生徒でも、マルスル基準はかなり違ってきます。画一的に「間違わずにスラスラ弾けたらマル」というのはある場合には甘すぎますし、ある場合には厳しすぎます。
マルの基準は先生が「先生がその時、生徒さんに教えようとしていること」によって決まってきます。
確かに言われてみればその通りなんですよね。
指使いを教えるときにはリズムは多少揺れてもよしとするとか、読譜を教えてるときは、多少つまっても楽譜を見ながら弾けたらよしとするとか、フレキシブルに対応すればいいんですよね。
あと、これはぼくの勝手な解釈なのですが、環境の違いや体調、心理状態によって昨日できてたことができなかったりすることがあります。
そういう時、自分を責めてしまいがちなのですが、それだとセルフイメージが下ってしまうんですよね。
それよりは、「うまくできなかったけど、コンディションが悪い中よくやったよ」とフレキシブルに自分の中の基準を下げてあげてもいいような気がします。
もちろんそんなことばかりでは自分の中の基準が下り続けて困りますが、楽器は長期間のコンスタントな練習を要するものなので、長い時間の中ではそういう事も必要だと思います。
次の質問
Q:よい先生と悪い先生の分かれ道はどこですか?
A:レッスンがうまくいかない時、生徒のせいにするのが悪い先生で、自分のせいにするのがよい先生です
この答えには参りました。
うーむ、確かにこれはよい先生です。
江口さんは本当にピアノを教えるということに情熱を傾けてきたのだな、と思える回答です。
ご自身にもこう言い聞かせてきたのでしょうね。
で、最も感心したのが、
A:生徒がレッスンを辞めた時、どういう風に心の整理をすればよいですか?
に対する答え。
ピアノの先生は生徒さんに「やめる」と言われるとピアノに情熱を傾けてきた自分自身が否定されたように感じるらしいのですね。
で、それにたいする江口さんの答えは、
わたし自身の生活もピアノを中心に回ってきました。
わたしにとって、「ピアノを否定することは、自分自身の人生を否定することに等しい」のです。
でも、人には色々な人生があっていいのです。面白いことはピアノ以外にも一杯あります。ピアノが弾けなければ人生が楽しめないわけではありません。自分が好きなこと、自分にとって楽しいことをいくらでも見つけることが出来るのです。
ピアノを辞める生徒さんも「ピアノよりもっと楽しいものをみつける旅」に出かけるのだと思いましょう。「何でもいいから、自分の好きなことを見つけてね」と笑顔で送り出してあげましょう。
人は自分が大事にしているもを人が大事にしてくれないと、自分まで否定されたように感じます。
でも、世の中にはいろいろな人がいて、感じ方も人それぞれです。
その違いがあると知った上で、お互いを認める、これが重要なんでしょうね。
江口さんは本当に生徒さんのためを思っているのだなあ、と感心しました。
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